はじめに
 “最近の錦鯉は弱くなった”とよく聞く。確かに,何百年の錦鯉の歴史の中で,突然変異をおこしたもののうち,さらに人間の美的センスにかなったものだけを残してきた錦鯉。しかも,高度経済成長に伴う環境破壊で水の中には目に見えない環境ホルモンが溶け込んでいる。弱くなるのは当たり前である。
 その弱い錦鯉をちょっと前では考えられなかったサイズ(80cm超)でしかも美しく育てたいという,人間の欲望のため,高蛋白,高カロリーの餌を与えられ,病気予防や治療に薬をバンバン使う。そのせいで,人間に近い寿命があるといわれている鯉の寿命が“10年もてば御の字”などという人もいる。
 巨大で美しい錦鯉をもてるのは,財力がある人だけでは錦鯉の未来はない。普通の愛好家でもこの夢を叶えられないものか日々の飼育に工夫を凝らしている方も多い。

巨大な錦鯉
 普通の愛好家が巨大できれいな錦鯉に育てるためには以下のことが考えられる。
 1.巨大な親から生まれた子を飼う。(巨大になる遺伝子を引き継いでいる)
 2.病気にさせず,なるべく薬を使わない。
 3.餌を工夫する
 4.2と裏腹な関係だが良い「水」づくりをする。

鯉の栄養吸収のメカニズム
 すでにご存知の通り,鯉には胃がない。人間は,胃で消化液を出し,腸で吸収しやすくしている。鯉は直接腸に餌が到達するため,消化の悪い餌は腸に負担をかける。この負担が命取りになることが多く,鰓病を筆頭に病気のほとんどが腸の動きに関係しているといっても過言ではない。
 ブルガリア地方の人々の寿命が長く老いても健康であるのは,ヨーグルトを良く食べるからという報告がある。ヨーグルトの中には乳酸菌が多く含まれている。この乳酸菌が消化吸収の手助けをしている。

乳酸菌
 ならば,腸でしか消化吸収できない錦鯉であればこそ,この乳酸菌を錦鯉の腸内で増やせば,夢を叶えられるかもしれないとあれこれ試してみた。
 万田錦,ヤクルト,咲ひかり,ミラクル・animal・・・
 ミラクル・animalは今年の全日本振興会の会場にブースが出ていて,説明を聞いて「いけるかも」と思い,200ml購入した。沈下性の咲ひかりと混ぜて与えたところ,加温飼育している当歳がぐんと伸びた。
 同じ頃,日鱗に三好養魚場の錦鯉飼育の取り組みが載った。以下,その取り組みを,筆者に許可を取ってまとめてみた。

プロバイオティクス
 胃のない鯉は食べ物を腸で消化吸収します。そこで,腸内の善玉菌を増やし,腸内細菌のバランスを保つことで病気になりにくい魚体を作る「プロバイオティクス」という考え方を基にして,飼育していくことが効果的であるとしています。
 プロバイオティクスとは生体によい影響を与える生きた微生物(生菌)のことで,代表的なものとしてビフィズス菌や乳酸菌があげられます。また,筑波大学の星野教授の実験では,鯉の腸内にいる3種類の乳酸菌を餌に混ぜて与えたところ,KHVに感染しなかったと新聞報道にもありました。つまり,鯉の腸内にいる乳酸菌を増やすことで,病気にかかりにくくなるのだそうです。
 
ではどうしたら腸内の乳酸菌を増やせるのでしょうか
 @乳酸菌を餌に入れて与えることです。カスピ海ヨーグルトを代表としたヨ     ーグルトを餌に混ぜることです。

 A乳酸菌の餌になるものを与えることです。オリゴ糖が代表的なものです
 
 B乳酸菌を増大させ,消化吸収を助ける納豆液に餌を浸すことです。


三好養魚場の考え方に感銘を受けて
 KHVの嵐が吹き荒れる今,本当に強い鯉が求められている。三好養魚場の取り組みが今の錦鯉界に必ずや旋風を巻き起こすと信じている。何度かメールや電話のやり取りをする中で三好養魚場が開発した「プロバイオティク粉末」をいただいた。
 この粉末には,納豆菌,4種類の乳酸菌,優れたインデューサ−食品が配合されている。
※インデューサー食品とは細胞の抵抗力を増強しウィルスからの攻撃を防ぎ,増殖を防ぐインターフェロンを合成する食品(ウコンやハトムギなど)
すばらしい結果を信じ今年はこの考え方で飼育していきたい。

使用方法
50mlのオリゴ糖シロップにプロバイオティクス粉末一袋をいれよく練る。
そこへ,30mlの水を加えよくかき混ぜる。
3kgの餌とよく混ぜ合わせる。
半日乾燥させる。
納豆菌の働きでカビたり,劣化したりしない。
給餌器で与える場合は餌同士がくっつかないようにきな粉をまぶす。
私はタッパーに入れて冷蔵庫で保存1日分だけ給餌器に入れている。
 


プロバイオティク錦鯉飼育
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送